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★はじめに(4)(5)(6)7)不安が安心へ(心の病が身体の病へ) (8)

7.不安が安心へ

“怖い” という恐怖を学んだ心は、“無意識” に自分を護る術をとる。
その無意識な姿が顕著に現れるのは『無防備になるのは睡眠中』なのかも知れない。

当時の悠希の寝姿は、正座したまま前へ倒れ込むスタイル、見るからに『いつでも飛び起きる事が出来る』と語っていた。そんな悠希は僅かな音にも敏感に反応して飛び起きた。

安心が呼び寄せた病気

「家族」「住む家」そして「幼稚園」が決まった事によって、悠希は『ここで暮らせる、ここで暮らしても良いんだ』と、確信を得た、すると、不安を抱いていた心は、“ほっ”、としパンパンに張り詰めていた糸が切れた。『安心という保証を得て・・始めて体調を崩す』。

目に見えない心の病は、目に見える身体の病を引き寄せた。
まるで、心の叫びが表面化するように・・・。

幼稚園が決まって3日が過ぎると、悠希は40℃の熱を出した、病院へ駆け込むと、
「風邪ですね。心配をしなくても、しっかり食べて寝ていれば、時期に治るでしょう。」
と、診察はあっけなく終わり、先生はカルテに記載しながら口を動かしていた。

そんな先生の様子を見つめていた、未奈は不安を抱えたが、慎也は怒りを抱えた。

家に着いた未奈は、悠希を抱いたまま部屋に入り布団の中へ寝かせた・・。
慎也は玄関にて、ウロウロ、ウロウロ・・、そのとき、
「親なんだから、叩いてでも、食べさせろよ!」と、突然、怒鳴った。
「だって、食べてくれないんだもん!」と、怒鳴り返す未奈の目から涙が・・

し~ん・・、静まりかえる部屋の中で、

「お腹、空いた」と、今にも消えそうな声が、優しい声が流れた。

悠希の枕元で涙をこぼしていた未奈の顔が持ち上がると、目の前に優しい笑顔が・・、
病に伏せている5歳の悠希が、精一杯、気を遣っている・・。
『ダメ親だ・・』と、涙を拭く未奈。

「ごめん、ごめんね、怒鳴って・・、リンゴ、すり下ろしてあげようか?」
「うん」と、未奈へ笑みを送る悠希。

悠希から放された笑みは、“ケンカをしないで”、と、訴えていた。
一方、慎也も我に返ったのか、口を閉じたまま、お湯を沸かし洗面器に注いだ、
悠希の頭上に置かれた洗面器から『早く治りますように』と、湯気があふれていた。

初めての幼稚園

そうして4日目の朝、慎也を仕事へ送り出した未奈は、台所で後片付けをしていると・・。
気配を消した悠希が幼稚園へ行く身支度を調えて、未奈の隣に立っていた。

「咳、酷かったね、今日は、幼稚園、お休みしようか?」と、ゆっくり尋ねる未奈。
「幼稚園へ行きたい。」と、今にも消えそうな声で、はっきりと答える悠希。
「そうだよねっ、今日という日を・・1週間も・・待っていたんだもんねぇ・・・、
 行きたいよねぇ・・・、だいじょうぶ・・?・・・」

再度、ゆっくりと確認を取る未奈へ悠希が頷く。そんな悠希を見つめていた未奈も頷く・・が、昨夜の咳は、悠希の睡眠を邪魔していた事は・・確かだった。 そんな悠希の体調が気になる未奈は、今一度、体温を測り直すと・・、悠希の意思に添う事を決めた。

車に飛び乗り30分が過ぎると・・幼稚園に着いた。

悠希の緊張は全身から溢れ出る。そんな悠希を迎入れてくれたのは、
「悠希ちゃんが来るのを、楽しみに待っていました。」と、
笑みをこぼし、声を弾ませてくれたクラス担任の菫先生だった。

この時から幼稚園生活が始まり、悠希は楽しそうに日々の時間を刻んでいた。
そして、幼稚園は、悠希にとって欠かせない、もう一つの居場所となった。
また、自宅では食事と睡眠を整えるための取り組みも始めた。
一見、順調に時を刻み始めていたが・・、

幼稚園へ通い始めて、2ヶ月後の12月に事件が起きた。
それは、当時、偽善と暮らしていた時に受けた、“暴力が重なる出来事に遭遇” した。

その当時の恐怖を思い出した悠希は登園拒否。また未奈の対応が悪く1週間の時が流れた。
この間、菫先生は諦める事なく、根気よく、毎日、電話のベルを鳴らしてくれた。
そんな菫先生の行動が、悠希を再び幼稚園へ向かわせてくれた。

その後の悠希は、毎日、楽しそうに通い続けて、幼稚園を卒園した。

追記

当時は、元夫の偽善から逃げているため、負い目はもちろんの事、生活をスムーズに送るための住民票は移せず、悠希の健康保険証もなく、母子手帳もなかった。
これらの流れは、3人の心に無言の制裁がのし掛かっていた。

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