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★はじめに(13)(14)(15)16)過去から逃げると繰り返される(17)

16.過去から逃げると繰り返される

封印されていた恐怖を吐き出した事で、心の病と体の病は峠を越したのだろうか・・、
2人は慢性的な気怠さから解放されたような・・心なしか体が軽くなったように思えた。

現在の出来事が、過去の恐怖を甦らせる

2週間ぶりに学校へ行き2日が過ぎた、未奈はいつものように悠希の帰りを待っていると、 玄関ドアが開き『ただいま』の代わりに「ドン!」と、力任せにドアを飛ばす音が響く。

その音に釣られた未奈が立ち上がると、キョロキョロ・・、
リビングに入ってきた悠希は、プリプリ・・、

『おかえり』の代わりに「悠希。ドアに当たるんじゃない。ドアは悠希に何も悪い事をしていない。 どんなに頭にきても、どんなに怒りを抱えても、物に当たってはいけない。
物は、悠希に何も悪い事をしていない、いいね。」と、悠希を直視する未奈が声を飛ばす。

悠希が抱える怒りは、未奈の言葉を軽く跳ね返し、ガンガン前へ進み2階へ突き進む。
部屋に入った悠希は、再び、イライラを示すように、大きな音を立ててドアを閉めた。

その後、数10分が過ぎると悠希は階段を降りてきた、が、途中で止まり階段に座った。

「ママ、もうイヤだ」と、半べその声で訴える悠希。
「どうした?」静かに問う未奈。
「どうせ、ママは何もしてくれないもん、
みんなのお母さんは連絡帳に書いてくれるんだよ。なんでママは書いてくれないの!」

大声を飛ばし怒っているのに、閉じられた口は涙を堪えていた。
それでも、顔を持ち上げた悠希は、呼吸を整えながらゆっくり話しを始めた。

「今日ね、席替えをしたの、悠ちゃんの隣に大ちゃんがきたの、
イヤなんだよ、大ちゃん、怒ってばかりいて、直ぐに怒鳴るんだ。
悠ちゃんは何もしていなのに、叩いたり、突っついたり、此処から出るな…とか、」

話している最中で下を向く悠希、こぼれ落ちそうな涙を必死に食いしばっていた。
また、悠希の話を聞いていた未奈は、大ちゃんと偽善さんが重なった・・が、

「ママは思うんだ。この世の中には色々な人がいる。また、居て当たり前なんだよ。
今、悠希が嫌がっている人はクラスの友達でしょう、逃げたくとも逃げる事は出来ないよ。
悠希が、その時折に、なんとか対処していかなきゃならないんだよ。
でもね。対処するって、我慢をする、という事じゃないからね。
嫌な思いをしたならば、言葉を使って自分の気持ちをはっかり相手に伝える事なんだよ。
確かに、今は、席替えをすれば、事が済むのかも知れないけど、でも世の中…、」

「もういい、もういいよ、どうせ、ママはそうだもんね、 家だけだよ!
本当は敦ちゃんの隣にいたの、でも、敦ちゃんのお母さんが連絡帳に書いてきたから、
今日、席替えをしたの、そしたら、悠ちゃんの隣に来たんだ・・・プリ。
もういい。もうヤダ。大ちゃん、大嫌い!」

プリプリ、ドスドス、プリドスと階段を下りきると、全身で怒りを表すように “ドン” と、大きな音を立てて椅子に座りボールペンを握り締めた。 すると、ペンは怒りの炎を舞い上げて、まるで走り出したら止まらないを示すように、動く、動く、ひたすら描き続けて、ポン、ポンと描いた絵を捨てた。 その迫力に未奈の足は止まり、ただ、見つめていると、

「ママ! 紙がない! 紙、紙ちょうだい。何でも良いから、早く、紙ちょうだ~い!」
いきなり大声を張り上げた、悠希、目には涙がいっぱい・・・・

もう一歩進んだ、対処法

翌日を迎えた悠希の口は、閉ざされたまま、まるで怒りを食いしばるかのように・・、
無言の表情は・・戦闘モードのスイッチを入れると・・・、学校へ行った。

学校から戻ってきた悠希は、昨日を再現するような・・・流れを踏む。
ドアに当たる、注意する未奈、ペンを走らせる、描いた絵は、ポイ、ポイ・・と。
これらの流れは、次の日も・・次の日も・・同じ、1日が刻まれる。

そんな5日目が過ぎた夜、悠希はコタツにて、口を動かさずにペンだけを動かし続ける、
その姿は『慎也の帰りを待っている?』と、悠希を見つめる未奈に過ぎらせた。

すると、慎也が帰ってきた、と、同時に、
「戦い、やろう」と、静かな声を飛ばす悠希はボクシングポーズを決めると飛びかかった。
「ちょっと待ってくれ、イテ、ご飯ぐらい食べさせろよ、イテ」と、笑みをこぼす慎也のお腹に、お腹をかばう手の平に、悠希の小さな拳が入る。

この時から始まった「戦いやろう」の声かけは、ただ単に八つ当たりをしているようには見えず、 絵を描くだけでは収まらない、感情(怒りやイライラなど)を『どう処理をすればいいのか・・』悠希自身が模索しているように見えた。

悠希は絵を描く事で、自分の心と向き合い、語り合い、気持ちの整理を重ねてきた、が・・
環境が手助けをする怒りは、絵を描くだけでは処理できずに、悠希は苦しんでいた。

怒りは、体を動かすことで処理できる?!

パンチを受け続けていた慎也から悠希へ、
「腕立て伏せ、できるか?」と、そのとき、悠希の表情が柔らかくなった、
すると、腕立て伏せを始めた慎也、その動きを見つめる悠希も腕立て伏せを始めた。

この時から始まった運動は、「今日は何をする?」の声かけがリズムを刻むように、腹筋、スクワット、 マット運動なども盛り込みながら、慎也と悠希は、毎晩、競い合った。
そんな悠希の顔にはパンチを繰り出していた時の表情と対照的な笑みが広がった。

また、これらの時間は悠希の体力向上に繋がり、逆立ちやぶら下がりでは勝利を得る回数が増え笑みを広げる回数も増えた。 一方、負けの回数を増やす慎也の口は、ぼやきが始まる。

「仕事から帰ってきて、これは、きついよ」と、悠希が眠りに就くと、 笑みをこぼす慎也は、まるで悠希に負けた事への言い訳をするように・・言葉を流す。(笑)

学校へ通う毎日を戦闘モードに入れる悠希は、無意識に怒りの炎を日に日に大きくした。 そして休日の土曜日を迎えても、消化しきれない怒りの火の粉と向き合い、絵を描き続ける。 そんな悠希の努力が実るのは、翌日の日曜日、やっと穏やかな表情を見せる悠希だった。

学校の対応を話し合う

「悠希ちゃん、学校へ行くと悪い子になって帰ってくるな、学校が悪いんじゃないか。」
悠希が眠りに就くと、突然、慎也の思いが言葉になった、未奈が振り返ると、
「学校が休みの日はホッとするなぁ。休ませるかぁ、それとも違う学校へ通えないのか?」
「う~ん、今ね、隣に座っている男の子が、嫌いなんだって、」と・・

悠希から聞いた話をはじめた未奈、そして、

「そんな流れを踏んで、今は、悠希の隣にいるんだって・・、 悠希にしてみれば、怒りが何倍にもなっているよね。クラスの友だちから始まって、友だちの親だったり、先生だったり・・、でも、一番、ムカツク相手は、きっと、私だと思うよ。(にこ) 

でもさ、これって・・、なんか変だよね~ぇ。
先生は子供たちに対して、きちんと指導しているのかな~ぁ?
父兄とも、きちんと話し合っているのかな~ぁ?
先生が見て見ぬふりを決め込んだら・・
子供を学校へ通わせる意味が無い・・と、思うんだ・・よね。

なぜ、大ちゃんの問題を、クラス全員で話し合わないのかな・・?
悠希の話を聞いていると、嫌われ者、・・みたいだし、このままじゃ、大ちゃんも可哀想だよね、きっと大ちゃんは何が悪いのか、分からないんだと思う。 なんで、父兄たちと話し合いをしないのだろうか・・、共に解決策を模索しても、いいと思うんだけど・・

ただ、父兄のいいなりなるのが・・先生じゃないでしょ。 
子供たちを指導するのが先生の役目だよね、
そして、父兄とも話し合って、説明をして、促すのが、先生でしょ・・う。
大ちゃんだって、苦しいよね・・」

「今はさ、先生が父兄に怯えている時代だからな。
悠希ちゃんが通っている学校は、PTAが強そうだしな。」と、茶化して笑う慎也。

「そうだね、学校が決めているのか、国からの指示なのか・・解らないけど・・、 PTAの役員決めプリントを見ると、“なぜ、子供たちがやらないのか”、“なぜ、親がやるのか”・・
疑問を持ったし、まるで学校でも親が子育てをする・・のか、なんて、過ぎったし・・。
でもさ、学校はさ、社会へ出るためのステップだと思うんだけど・・。
ちょこちょこ学校へ来る親を見つめる子供たちは、自立が出来るのか~ぁ??」

「できないだろうな」と、さらっと応える慎也の頭が揺れていた。
「なぬ」と、未奈が応えると、2人は笑った。

「未奈も連絡帳に書いてあげれば、あれじゃぁ、悠希ちゃん可哀想だよ」
「うん、私もそうするしかないのかな…って、最近の悠希を見ていて、思った。
悠希、学校を休みたいだろうに、それでも休まないで通っているし、偉いよ。
本当に良く頑張っている・・、そうだね、明日、悠希に聞いてみる・・。」

沈んだ流れで2人の会話が終わった。

翌朝、悠希はいつものように学校へ行く支度を整えていた。そんな悠希の背中を見つめて、
「連絡帳に書いてあげようか、悠希、頑張っているから・・」と未奈が声を飛ばす、
「いいよ」と、『今更、何を言っているの』と、心の声が響いた。

そんな悠希は、今日もまた戦場の場へ向かうように、意識を集中しスイッチを入れると、
動かない口は『負けるものか』と、噛みしめて学校へ行った。

あれから約10日が過ぎると、
「ただいま~ぁ」と、悠希の明るい声が、久しぶりに部屋の中を流れた。
「今日ね、席替えをしたの。」と、ホッとするような笑みを未奈へ送ると、
「もう、学校を休まない、休むと何が起こるのか解らないから」と、
笑みをこぼして、遊びに行った。

悠希を見つめる未奈は『また、1つ、本来の悠希を取り戻した』と、笑みをこぼす。

苦しい涙とは・・?

現在の時を刻むと過去の時が甦る。それでも、自分を信じて前へ突き進む。

大ちゃん事件は、悠希の怯える心にメスを入れて、“消したい過去” “思い出したくない過去”、を取り除く作業をしていた。 この作業は悠希に『自分を信じる心』『自分を認める心』を強くし『自分の足で立ち、自分の足で歩く』という本来の悠希の姿を取り戻す。

追記/いじめっ子・いじめられっ子

いじめっ子、いじめられっ子、最近では、虐めに自殺が繋がり、虐められている子への指導が増えているけど、 虐めている子へのサポートが無いように思える。

もっと、いじめっ子の心を考えるべきではないだろうか、
まして小学生ならば、自分の意思ではなく、育っている環境で学んでいる事を、学校で行っているだけなのだから・・、いじめっ子の心が・・とても気になる。

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