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★はじめに(1)2)波乱な時間 (3)(4)(5)

2)波乱な時間

『心の時計が狂う時』 身体は現在の時を刻んでいるのに、心は過去の時の中へ沈む。
『安心』は、過去の時間で味わった全ての出来事を『呼び戻し』現在の時を脅かす。

3人の生活は、少なからずも『安定・安心』の時を刻み始める。

2年前+3年前(回想)

2年前の家族は、偽善(父親)、未奈(母親)、17歳の良太(長男)、2歳の悠希(長女)、4人で生活をしていた。ある日、遊びに行った良太がバイク事故に遭いこの世を去った。

3年前までは未奈と良太の2人暮らし、未奈の人生は「良太と共に歩み、生きてきた人生だ」と言っても過言ではない。そんな未奈が良太の死を受け止められる訳がなかった。

「この地」「この部屋」「車の中」・・良太がいっぱい、でも、もう、良太は居ない、この現実を認めなければ・・、「悠希は・・どうなる・・」「悠希は・・」と、良太への思いを悠希へ切り替えようとすればするほど、未奈は「良太の声が聞きたい」「良太の笑顔が見たい」と心の底で叫んでいた。未奈が刻む日々の時間は、自分の心との戦いだった。

そんな時に、

「俺、立ち直ったよ、お前は?」と、軽快なリズムを刻む偽善は、無神経さをアピールするように未奈の肩を「ポン」と叩いた、その瞬間、未奈の体と心が凍り付いた、
「ますます、辛くなったよ!(気軽に触るな!)」と、言わんばかりにアドレナリンの力を借りて大声と大粒の涙を落とし、この部屋を飛び出した。

『ごめん、良太、ごめん、もう、ダメだ・・。良太はもう少し我慢しろ、と、言ったけど、良太はもういない、いないんだもん・・、ダメ、ダメだ・・、ごめん』と、、、

このとき、良太が他界して1ヶ月の時が刻まれていた。

現在に至る・・流れ

未奈の心は壊れたまま・・時を刻み、良太の死から3ヶ月が過ぎると、未奈は離婚を要求、偽善は絶対拒否。 それでも譲らない未奈へ「離婚をするなら、悠希を渡さない!」と、大声で脅すように声を飛ばす、まるで人質でも取るように悠希を連れて実家へ帰った。
そんな偽善は『悠希さえいれば、未奈は戻る』・・と、考えていた。

1人になった未奈を拾った慎也は「死ぬなよ」「悠希ちゃんに会いに行こう」と、
未奈の気持ちに寄り添うように・・・声を掛け続けた。

悠希と再会した未奈は、悠希の異常さに驚き「引き取りたい」と訴えた。また、悠希も「ママと暮らしたい」と訴える。 その後に話し合いの場が設けられたが、無駄となり、未奈は裁判を起こすが「却下」となる。その結果を受けた未奈は、悠希を連れ出した。

3人でスタート

段ボール箱が積み重なった部屋の中で、「ホッ」と、するのは未奈と慎也。
穂乃ちゃんとの別れで、「寂しさ」をアピールするのは、秋色を濃くする・・悠希。

悠希を連れてきた8月末は、美也ちゃんから連絡を受けて、突然、6人の生活が始まった。
そうして10月に入った、今、初めて慎也・未奈・悠希の3人で生活をスタートする。

未奈は、悠希を連れてきた事によって「私は親と違う、子供を見捨てない」と、誇る。
悠希は「ママに捨てられた、私よりも男を選んだ。そんなのママじゃない」と、怒る。
慎也は、良くも悪くも、常にマイペースだ。

バラバラの思考を持つ3人が集まり、新しい家庭で、新しい家族を築き上げる作業は・・、
想像以上に波乱の幕開けとなる。

心の時計が狂う時

夕食をテーブルの上にセットした未奈は、テレビの前に座り込む悠希へ、
「ご飯を食べよう」「いらない」と、応えた悠希の視線は、テレビへ送り続ける。
「食べないと駄目だよ。食べよう。」と、声を掛けながら歩み寄る未奈。

「偽善さんは、そんな事を言わなかったよ。」と、振り返った悠希の顔は、“ニンマリ”、
まるで、未奈の反応を試すかのように、悠希の視線は未奈を直視する。ところが、
「好きな物だけでも良いから、食べよう。」と、声を掛け続ける未奈は、
『偽善の話など、どうでもいい』と、無視するように未奈の足は動き続ける。すると、
『しつこいなぁ~』と、語るように苛つく悠希は、未奈に背を向けて、
「うっせーなぁ、あっちへ行けよ。」と、低音の声を響かせた・・悠希。

未奈の動きが止まる『この声、この口調・・』聞き慣れた偽善の怒鳴り声そのものだった。
今の時を刻んでいるはずなのに・・、心は過去の時の中へ沈む。心の時計が狂う。

『偽善との生活が甦る、偽善は冗談ぽく未奈へ暴力と脅迫を続けてきた。』
そんな未奈の身体は反射的に仰け反る・・大粒の涙が溢れ出る、涙のカーテンが引かれた目が見つめているのは、悠希の背中ではなく、偽善の後ろ姿だった。

「これ、知っている、由美姉ちゃんと、いつも観ていたよ」と、悠希に戻った?
「ねっ、食べないと死んじゃうよ、食べて」と、遠目から恐る恐る声を掛ける未奈。
「死なないよ、岩手では食べなかったもん」と、明るく、あっけらかんと返す悠希。

未奈は、再び、過去の時間へ墜ちた。『死ぬはずのない良太の死』から始まった大切な人たちの死、その度に苦しんできた未奈の心は、その当時に味わった苦痛までも甦らせた。
すると、、意識が遠のく・・涙が止まらない・・声が出ない、頭の中は混乱の渦・・
『悠希は死なないで、あの苦しみは・・もうゴメンだ』と、噛みしめる未奈、目をつぶり、息を吸い、意識を『声』に集中させて・・顔を持ち上げた。

「食べてよ~」と、息を吐く力を借りて叫んだ。

その声は、未奈自身も驚くほどの甲高いヒステリックな声だった。
驚いた未奈の目が見開くと、畳の上で倒れている悠希が飛び込んだ。

「ごめん、ごめん、息をして」と、悠希を抱きかかえて必死に謝る未奈、
「うわ~ぁ」と、息を吹き替えすような大声で泣く悠希、
「ごめん、もう、怒鳴らないから、ごめん、ごめんね」と、泣き崩れる。

『不安』から『安心』へ移行されるとき、心の底に隠れていた『自分』が表面化する。

悠希は未奈へ『安心という空気』を確かめるように、悠希が抱える思いを屈折させながらも、未奈へ飛ばす。 そんな悠希は、偽善と暮らしていた当時に『無意識に学んだ、偽善の怒り』を未奈へ飛ばした。

悠希の心、未奈の心、良太(長男)の死から約2年半過ぎた、今もなお・・荒波の中にいる、
自分との戦いが・・・ここから始まる・・・。

追記

住む家が決まり幼稚園も決まった。悠希の居場所がもう1つできた。

『安心』という自分の居場所を見つけると、心の底に潜む『恐怖』を引っ張り出す。
子供は、自ら環境(場所)を選ぶ事は出来ない、それでも環境をつくる事は出来る。

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