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DV家庭に育って、暴力で支配・子に連鎖           毎日新聞2017年4月26日

ドメスティックバイオレンス(DV)の検挙数が、最近10年で5倍以上に増えている。
家庭内でのDVは目撃した子供への児童虐待になるが、ケアは不十分なままだ。
DV家庭の子供は、親と離れても暴力の幻影から逃れられず傷ついている。
子供たちに何が起きて、どのような影響が及んでいるのか、当事者の声を。

子供の頃は被害者だったのに・・

新聞掲載の内容をピックアップ。

・幼少期から父が母を殴り「死ねばいい」と罵倒する姿を見てきた子供にも父の暴力がおよぶ。
・子供は、いつ怒り出すか分からない父に怯えて、気を張りつめる時を刻む。
・父の暴力がエスカレートし出したのは中学3年生の時、母と妹と家を出たが、
 婦人相談所の一時保護所に入所できず、民間シェルターへ避難した。

加害者となった子供は、かつての父親のコピー・・、

・「何で切らしているんだ!」「家のことができてない!」と、かつて、父が母に投げつけた
 言葉を、今は、子供が母に投げつけて責めている。
・そんな子供を見つめる母は「まるで息子が夫のコピーみたいで怖いときがある」。
・子供は「父のようになりたくはないけど、つい言葉が荒くなってしまう。自分でも、どうし
 たらいいか分からない・・」と、心境を語る。

DV家庭で育った子供たちの心理カウンセリングを行っている武蔵野大の春原由紀名誉教授(児童臨床学)は、「暴力の支配が当たり前の中で育つと、暴力で人を支配することが普通のこととして、子供たちにインプットされてしまう。 よって、DV家庭で育った子供が大人になってDV加害者になるケースも多い。 暴力の世代間連鎖は深刻。連鎖を断つには、子供の心のケアをしっかりした方がよく、ケアは早ければ早いほうがいい」と、話す。

面前DV

2004年の児童虐待防止法改正で、DVを目撃することが心理的虐待「面前DV」になると定められた。 16年に警察が児童相談所へ虐待の疑いを通告した子供の人数は、5万4227人。そのうち面前DVが半分近くを占める。
お茶の水女子大の戒能民江名誉教授(ジェンダー法学)は「DV防止法上で子供が直接の被害者ではないから支援策は乏しいまま。 これだけ面前DVが増えているのだから法整備が必要」と。

毎日新聞が・・・
昨年12月~今年2月に実施したアンケートからDV家庭で育った子供たちの様子が浮かんだ。

北海道の民間シェルターでは、避難してきた女児(当時4歳)が、父と同じ口調で「こんな飯、食えるか」と怒鳴り、母に暴力をふるったという。
父が母をばかにするところを見て育ったため、同じように母をばかにするようになり、母子関係は悪化。女児は児童養護施設に入ることになった。

シェルターの代表者は「母子関係が壊れて、児童養護施設や里親に預けられる子供もいる。
DVは子供たちにかなり深刻な影響を及ぼすが、あまり知られていない。 恐怖の状況に長くいれば回復にも多くの時間がかかるのに、支援が忘れられている」と言葉に力を込める。

自傷や不登校

アンケートでは「リストカットなど自傷行為が止まらない」「多動で落ち着きがなく発達障害の診断を受けた」「父親からの性的虐待を経験した子の避難が増えている」との回答も。

またDV被害に遭った子供が、転校した先の学校で、先生が「わけありで転校してきた」と、クラスの保護者会で紹介したため、「犯罪加害者の家庭の子供だ」という誤解が広がり、学校に通えなくなったケースもあった。
     (一言いわせて<(_ _)>、学校の先生方の勉強不足が・・子供の心を傷つけている)

関東地方の民間シェルター代表者は「避難したら、めでたしではない。子供はずっと傷を背負う。親は子供が見ていないから大丈夫と思っても、扉の向こうの大きな声や物音におびえている。見ていなくても知っている。子供はDV被害者だ。早急に支援していくべきだ」と話した。

8割「父から被害」訴え

北海道シェルターネットワークが03年に「DVと子どもへの影響調査」を実施した。
道内で民間シェルターを運営する7団体が01~03年に扱った183ケースを分析した。

シェルターに避難した子供の8割が13歳以下で、8割以上の子供が実父からの被害体験を訴えたという。 被害状況については、子供たちの43.7%が「平手でたたかれる」「突き飛ばされる」などの身体的暴力を受け、90.2%の子供が「暴力場面の目撃」などの精神的暴力を受けていた。また性的虐待は5.5%に上った。

DVを目撃した子供の事例も数多く紹介された。
「突然父の怒鳴り声の幻聴がし、飛び散る血が目の前に現れる幻覚を見るようになった」(シェルター入所時11歳)。「家庭内暴力がエスカレートし刃物を持ち出すようになった」(14歳)。 「男性の担任の先生が大声で話すと義父の思い出がよみがえり、フラッシュバックに苦しみ不登校になった」(13歳)・・など。

シェルターネットの担当者は「DVが子供にもたらす影響は深刻で、人生を狂わされている」と話す。 14年前と子供たちの状況は変わっていないといい「専門的なケアが必要だ」と訴えた。

DVシェルター・経営難・4団体休止、一時保護委託3割減

・夫や交際相手による暴力(DV)の被害女性や子供が避難できる民間シェルターが、
 この5年間で行政からの一時保護委託が3割減少し、経営悪化に直面している。

既に4団体がシェルター運営を休止し、専門家は「被害者支援の最後のとりでが破綻する」と危機感を抱く。 毎日新聞がNPO法人「全国女性シェルターネット」に加盟する68のシェルター運営団体にアンケートし、27団体から回答を得た。有効回答22団体のうち過半数の13団体が「経営状況が悪化している」と答えた。
民間シェルターは、都道府県の一時保護所に入れなかった被害女性も受け入れ、病院や裁判所への同行支援・引っ越しの手伝い・子供の保育園や学校の手配・カウンセリング・・など、生活再建や自立を手伝う。 寄付金や行政からの補助金、一時保護委託費が収入の柱。スタッフの多くは無給で、被害女性が必要とする日用品を自腹を切って負担する人もいる。

DV犯罪の検挙数は最近10年間で5倍以上に増加。一方、厚生労働省によると、行政から民間シェルターへの一時保護委託は、2011年度540人、12年度483人、13年度458人、14年度458人、15年度362人・・と、減少が続く。 委託費が減り、シェルターは厳しい経営を余儀なくされている。 都道府県の一時保護所での保護も、09年度の1万2160件から14年度は1万1082件と減少傾向にある。 厚労省は「一時保護全体の減少と連動して民間への委託も減っているのでは」と説明する。 シェルターネットの近藤恵子理事は「行政は一時保護に消極的になっており、命の危険にさらされたDV被害者を民間シェルターにつないでいない」と指摘する。

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