( no.28 ) 再会への道程 養父母たちの死を目の当たりにして、私は良太のことを考えていた。私には良太がいる、でも、 もしも私が死んだら…良太には誰がいるのだろう。良太の側には誰がいてくれるのだろう? (ホント私って身勝手な親ゴメンナサイ、そして私は道を誤る?)。 精神的にクタクタだった私は誰かにすがりつきたかった。眞を呼んでも私の声なんて届くわけが ない。そんな寂しさも重なて、なにもかも嫌になった私は自分自身を見失っていました。 そんな時に2年前に別れた鈴木さん(私より一つ年上)に何気なく電話をした。すると、お酒を飲 みに誘ってくれました。彼を目の前にしてお酒を飲んでいると涙があふれた。そして、養父母た ちの死・良太の登校拒否・団地の嫌がらせ、今まで私の心の中にたまっていた愚痴、そして、 現在も悩まされている現実をはき出していた。この時の彼はとても親身に私の話を聞いてくれ ました。 この日を境に3度、彼を呼び出しては泣いていた。 以前なぜ別れたのか…理由は、彼は良太を嫌っていた。そして良太も彼が嫌いでした。また、 私も彼の衝動的な行動が嫌いでした。振り返っても楽しい思い出はありません。それなのにな ぜ? それは紛れもなく私のわがままでしょう、私はただ単に話し相手として彼を選んだだけでし た。また、当時の彼には付き合っている彼女もいました。 そんなある日の事です。彼から電話で呼び出され彼に会うと、「お金を貸してくれ」 と言う。 その理由を訪ねると、現在付き合っている彼女へのプレゼントを買うために作った借金の返済 にあてたいという。「えっ、なぜ私のなの? 彼女に貸してもらいなさいよ。私はあなたから、プレ ゼントと名の付くものは一度ももらったこともないし、お金も借りたことないよ。」と、怒りを爆発 させてその場を去った。 そして、数日後また彼から電話が入った。内容は、住んでいた部屋を追い出されて行くところ がない、また、部屋を借りたくとも借りるお金もない。という。私は彼に返す言葉が見つからな かった。一瞬、無言の時が流れた、すると、私の脳裏に彼のお母さんが現れた。深々と私のよ うな者に頭を下げて 「息子のことをよろしくお願いします。」と、言ったあの時の姿でした。 出来ることならば、お母さんを悲しませたくない、そんな思いは、ずーとありました。ということで 渋々私の家に来ることを承諾した。 後にわかったことですが、結婚すると言って実家の親に紹介したのは、私だけではありません でした。また、私と別れた後も女の人を連れて行き、結婚相手だと紹介していたようです。 (な〜んだ、早く言ってよね、笑っちゃうよ。)
( no.29 ) 子供が1人増えた? 「仕方ないか」 で始まった生活とは、彼が私の家に転がり込んできた。この時から始まった。 良太は、「なぜ、あんな奴が居るんだよ。この家は僕と母さんの家だろう、どうして赤の他人が 堂々としているんだよ。何でいるんだよ。」と、すごい剣幕で怒りました。 私は良太に、現在の鈴木さんがおかれている立場を説明しました。お金がないこと・住む家が ないこと、だからここに来た…と。それでも良太の怒りは収まらず、「あんな奴と一緒に暮らす なんて、絶対にヤダ!」と、私に言葉を残すと自分の部屋に戻っていった。 良太の言い分は当然だと思う。また、彼は良太と話し合う気配も伺わせなかった。 そのため、私は 「良太との話し合いをして欲しい」と、彼に伝えた。すると次の日の朝、仕事に 出かけると、私の家には戻らなかった。ところが、夕方に電話が鳴った。 「昨夜は事務所に泊まった、今日は行っていいか。」と、訪ねてきた。断りたくとも断ることが出 来ない私。(なぜ、イヤならイヤといえないんだ〜ぁ(T.T)) 良太は、自分が言った言葉のセイで鈴木さんが帰ってこないと思いこみ、責任を感じたらしく 彼に謝りました。ところが彼は無言。。そんな彼の態度が私自身を苦しめた。すべては私の責 任、私が悪い…と。良太ごめん…。 そんなこんなで彼との共同生活が始まった。 彼の収入は、月約4〜50万円です。その中から家には10万円を入れた。“えっ!”と思った けれども、借金返済と部屋を借りるための資金なのだろうと思い込もうとした。そして、お金が 貯まり次第この部屋を出て行くのだろうと私は解釈した。 その日を待っていたはずなのに…私は妊娠をしたことに気づいた。彼に報告をすると 「たった 一回だよ。嘘だろう。」という。その言葉と態度に対しては返す言葉はなく、私は質問をした。 「借金はどうなっているの?」 少し間をおき 「全部終わった。」 という。もう一度確認をとると、 はっきり 「終わったよ。」 と、言いました。が、私は半信半疑でした。また、この人とこの先やっ ていける自信もありませんでした。そのため赤ちゃんの件は本当に悩みました。 でも、良太のためにも赤ちゃんが欲しい。そんな思いもあった。 色々悩んだ結果、産む決心が付いたのは、私には家を買うために貯めていた貯金があった からです。このお金を頼りに産むことにしました。 赤ちゃんがお腹に入ってからは私の体調は常に不調でした。早い時期から悪阻が訪れて長 期間続いた。一番最悪の時は、食事の支度をしているときでした。ご飯の匂い・みそ汁の匂 いなどに敏感に反応して度々吐いていました。そんな私の姿を見ては、彼が一言いう。 「鏡の見過ぎだよ。」と、笑みを浮かべる。(ふぅ〜) また、我慢の限界を超えたときに、思わず 「気持ち悪い」と、口から漏れて、座り込んだ私に対して、彼が言った言葉は、「俺に言うなよ 病院へ行けば、寝れば、」と、かったるそうな、冷ややかな言葉が返ってきた。 “誰も貴方になんか言っていないわよ” と、心の中で呟いて布団の中に潜り込んだ。この日 からは彼に気兼ねをしないで堂々と布団に潜れるようになった。(ラッキー、かな?) 彼に対する思いはドンドン冷めていった。 また、会社には妊娠をしていることは報告せずに仕事を続けていました。そして、赤ちゃんが 6ヶ月を迎える前に会社を退社した。この時も彼から貰った言葉は冷たかった。 “仕事を続けてろ”という、それで会社の方針 (妊娠=首) を彼に伝えたら、「ふ〜うん」 だって 会社を辞めて暫くすると悪阻は収まりましたが、体調は毎日不調続きでした。 食欲もなく絶えず疲れているような感じでした。そのためか、やつれたような顔になり、体重は 増えて当たり前なのに…減った? そんな日々を送っていました。 そんなある日、団地の掃除当番が回ってきました。彼に頼むと 「ヤダよ。」 と一言いうと、パチ ンコ屋に出かけていった。 (マッ、彼が家にいない方が私は気が楽だから、これでいいけれどね。。。)
( no.30 ) 怒り沸騰 彼が何をしようが、口を出さないようにしていたのに、彼の嘘に振り回されていた私自身に腹 が立った。実は、借金返済は終わっていなかった。 彼が帰ってくるのを待って、借金のことを問いつめた。すると、彼は無言。私は、彼への言葉 を失った。そして1人で考え込んだ。返済をすべきなのか、ほっとけばいいのか、しかし、ほっ とけば借金は返済されず、増えるだけ? 色々悩んだ末に、私の貯金をおろして返済をしまし た。そして、彼に対して腹立たしい毎日を送るようになった。しゃべると怒りがこみ上げてくる ため、徐々に言葉数も減っていった。 彼に対する怒りの感情は、私の心の中にしまい込んだ。 その一方で、良太の問題も抱えていました。 良太の行動パターンは、彼が家にいる間は寄りつかず、仕事に出かけるのを見届けると家に 戻ってきます。その後は自分の部屋に戻りベットに潜り込んで眠ってしまいます。 高校受験が控えているのに、学校へ通わないのは当然のような毎日を送っていました。 (すべては、私が悪い…分かっています) そんな毎日が過ぎていくと、“彼の態度” “良太の行動” その間にいる私はとても遣りきれ なかった。確かに私がまいた種です。分かっているが故に、私は1人で悩んでいた。でも、 限界でした、“疲れた” と、言葉が漏れたその瞬間から涙があふれた。涙は止まらず泣き続 けていると、鈴木さんの声が聞こえてきた、「いつまで泣いているんだ、いい加減にしろ!」と 怒鳴っている声でした。そして、物が私をめがけて飛んできた。(以前、鈴木さんが私にした 行為です。あの時の恐怖がよみがった) ハッとして私はそのまま家を飛び出した。 車に乗り込むと、美弥子さんの家に駆け込んだ。そして、「涙が止まらないの、止まるまで私 をここに泊めて。」と頼んだ。 部屋の中に導かれ座ると、彼女が私の話相手をしてくれましたが、涙は止まらない。 1日、2日と過ぎましたが、涙は止まらない。そして3日目は帰りたくないけれども、良太のこ とが気になって…またこの日は良太の誕生日でもあった。 私は重い足を引きずりながらケーキを買うと、家に戻りました。玄関のドアを開けると、良太が 向かい入れてくれた。「僕がこの家にいるから、絶対に母さんは戻ってくると思っていたんだ」 と、にっこり微笑んでくれた。良太の笑顔に救われた。そんな思いが私を包んだ。 一方彼は、「お前がいないと俺どうしていいのかわからないよ。だから二度とこんな事をしな いでくれ」 なぬ〜う。。言葉を失う。 彼への期待を断つと焦点は良太に絞られた。次の日、良太をドライブに誘った。 そして車の中で 「私、疲れたよ良太。赤ちゃんと3人で自殺しようか。私はもう何も出来ない よ…生きているのが辛いよ。死にたいよ。」と、呟くように言った。すると、「ヤダよ。俺は死に たくない。」 「じゃあ、どうすればいいの、私が何かすれば、良太はちゃんとしてくれる。学校 へも通ってくれる。それなら、私、なんでもするよ。どうすればいいのか、教えてくれる?」と、 問いかけた。暫くしてから、「わかったよ。何とかするから落ち着けよ。なっ帰ろう。」 と、良太 になだめられたような形で家に戻りました。 次の日から少しずつ、少しずつ、良太は変わっていった。そして学校へも通うようになった。 そんな良太を見ていて思ったことは、初めから良太に相談すれば良かった。(ほっ) のちに、高校入試の日を迎えました。市立一カ所受けましたが落ちてしまい。先生から推薦 の話が舞い込んできた。しかし、その高校へは通わせたいと思えず、また通学に時間がかか ることも悩みの種でした。私の思いを良太に話し先生には断りました。 でも、高校へは行って欲しい。その旨を伝えて私は夜間高校を薦めた。 良太もこの時は納得し、申し込み用紙を提出しました。試験当日の朝、良太は元気よく出か けましたが、戻ってきたのは夜でした。すると、「母さん、ごめん、俺、試験場に行かなかった。 色々考えたんだ。俺は勉強をしたくない、だから行っても無駄だろう。だから辞める。でもさ、 行きたくなったら、その時は必ず行くから。今はごめん、行きたくないんだ。」と、ひたすら謝る 良太がいました。 その後なんとか考え直して貰いたくて色々話し合いをしましたが、良太の考えは変わらなかっ た。 (そんなに、急いで社会人にならなくてもいいのにね、、シュン)